3. メロディとポップ性の融合
Cold War Kidsの中でも「Miracle Mile」は、最もキャッチーな部類に入ります。それでいて、表現が安易にならないのが特徴です。
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サビのメロディは明確で、繰り返しが多いため自然に口ずさめる構造。
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一方で、AメロやBメロは少し引っかかりのある音階で構成されており、単なるポップスに終始しない奥行きを感じさせます。
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歌詞も“救いや正解を提示しない”抽象的な表現が多く、聴く人ごとに異なる意味を投影できます。
結果としてこの曲は、「ラジオで流せる明快さ」と「聴き込めば味が出る深み」の両方を兼ね備えた楽曲となっています。
まとめ
「Miracle Mile」は、偶然のように聴こえて実は緻密、勢い任せのようで実は繊細なバランス感覚に支えられた楽曲です。
Cold War Kidsはこの一曲で、インディー時代から培った表現力と、ポップスの構造美を融合させることに成功しました。
つまり、「どうしたらこんな曲が書けるか?」という問いに対するひとつの答えは――“感覚に頼りながらも、構造と緊張感を捨てないこと”。
そして、勢いの中に「伝えたい必然」を隠しておくことにあるのかもしれません。
※Cold War Kids – Miracle Mile(Amazon Music)
SNOWさんの見解
不思議な感じだけど勢いもある、イレギュラーな感じが満載のメロディーでしかも情熱的。
過去に例があるタイプのサウンドではないと思うので、狙って描ける類のものではなく、まさに「魂の発露」という感じです。
生い立ちから”Miracle Mile”じゃないと出てこない曲と言えるんじゃないかと思います。
そういう曲、あるいはスポーツ選手、作家さん、アーティストさん、時々いますよね。
日本で言うと、松田優作みたいな、あの方は存在そのものが”Miracle Mile”みたいな感じだと思います。
なかなか真似はできないし、真似しても売れるとは限らないし、それはもうすごいの一言。