夏の終わりを告げるモンツァの空気は、他のサーキットとは一線を画します。
松林を抜けて轟音が響くストレートに、観客の声援が重なる瞬間。
そこにはイタリアの情熱、ティフォシの赤い海が広がります。
「荒れるのか、堅く決まるのか」──毎年議論になるのがこのイタリアGPです。
1. モンツァのコース特徴からわかること
モンツァは「スピードの殿堂」と呼ばれるだけあり、平均時速250km/hを超える高速サーキットです。
ストレート区間が全長の70%以上を占め、低ダウンフォースのセットアップが必須。
トップスピードは370km/hに迫り、シーズン中でも最速の計測値が出やすい舞台です。
ただし、速さだけでは勝てません。
シケインをいかに正確に抜けるか、そしてブレーキングの安定性がカギを握ります。
特に第1シケイン「レティフィロ」での混乱は毎年恒例とも言え、ここで順位が大きく入れ替わることもしばしば。
この特性が「波乱要素」と「順当な決着」の両方を生む理由になっています。
2. 歴史が示す荒れるレースの条件
過去10年を振り返ると、イタリアGPは実に対照的な結果を見せています。
2020年にはガスリーがアルファタウリで大金星を挙げ、90年代以来の“番狂わせ”として語り継がれました。
一方で、フェラーリやメルセデス、レッドブルといったビッグチームが順当に勝利した年も多い。
荒れる条件を整理すると、
- セーフティカーが複数回入る展開
- ピットストップ戦略が狂うアクシデント
- 天候によるグリップ変化
これらが重なると、中団チームにも勝機が生まれます。
つまり、コース自体が荒れる舞台というより、「外乱」が起きやすいからこそドラマが生まれるのです。
出典:DAZN Japan