朝のオフィスで、昭和世代の上司が大声で号令をかける姿。
一方で、令和の会議室では若手がリーダーシップを発揮し、上司は静かにサポートに回る。
同じ「上司」という立場でも、求められる役割は時代によって大きく変化してきました。
この変化を理解することが、これからの働き方を考えるうえで大切になっています。
1.昭和型上司の役割とは何だったのか
昭和の時代、日本は高度経済成長からバブル期へと突き進んでいました。
企業には拡大路線が求められ、上司は「強いリーダーシップ」を体現する存在でした。
- 声が大きく、部下を鼓舞する。
- 残業や飲み会で「背中を見せて育てる」。
- 成果よりも「長時間働く姿勢」を重視する。
こうした文化の中で、上司は「現場のまとめ役」かつ「絶対的な存在」として機能しました。
当時はモーレツ社員という言葉が象徴的で、上司が部下を率いて寝食を共にするのが普通でした。
いま思えば体育会系的な側面が強く、「管理」というより「統率」に近かったのです。
2.平成型上司への変化と葛藤
平成に入り、バブル崩壊や就職氷河期を経て、企業は効率化と成果主義へシフトしました。
この時代、上司の役割は「成果を出す管理者」へと変化していきます。
部下を数値で評価する仕組みが広がり、上司は「評価者」としての責任を強く意識するようになりました。
同時に、成果主義が行き過ぎて「部下を育てる余裕がない」という声も多く聞かれました。
2000年代にはパワハラという言葉が浸透し、昭和型の「叱咤激励」が社会から批判され始めます。
上司は「厳しさ」と「配慮」の間で揺れ動き、葛藤を抱えることになりました。
この時代を経験した人の多くは、評価制度の矛盾やリストラの現場を知っているため、部下との信頼関係に悩むことも少なくありません。