マネジメントの基本理解 – 上司に求められる役割の変遷(昭和→令和)

SNOW

2025-09-24


朝のオフィスで、昭和世代の上司が大声で号令をかける姿。

一方で、令和の会議室では若手がリーダーシップを発揮し、上司は静かにサポートに回る。

同じ「上司」という立場でも、求められる役割は時代によって大きく変化してきました。

この変化を理解することが、これからの働き方を考えるうえで大切になっています。

1.昭和型上司の役割とは何だったのか

昭和の時代、日本は高度経済成長からバブル期へと突き進んでいました。

企業には拡大路線が求められ、上司は「強いリーダーシップ」を体現する存在でした。

  • 声が大きく、部下を鼓舞する。
  • 残業や飲み会で「背中を見せて育てる」。
  • 成果よりも「長時間働く姿勢」を重視する。

こうした文化の中で、上司は「現場のまとめ役」かつ「絶対的な存在」として機能しました。

当時はモーレツ社員という言葉が象徴的で、上司が部下を率いて寝食を共にするのが普通でした。

いま思えば体育会系的な側面が強く、「管理」というより「統率」に近かったのです。


2.平成型上司への変化と葛藤

平成に入り、バブル崩壊や就職氷河期を経て、企業は効率化と成果主義へシフトしました。

この時代、上司の役割は「成果を出す管理者」へと変化していきます。

部下を数値で評価する仕組みが広がり、上司は「評価者」としての責任を強く意識するようになりました。

同時に、成果主義が行き過ぎて「部下を育てる余裕がない」という声も多く聞かれました。

2000年代にはパワハラという言葉が浸透し、昭和型の「叱咤激励」が社会から批判され始めます。

上司は「厳しさ」と「配慮」の間で揺れ動き、葛藤を抱えることになりました。

この時代を経験した人の多くは、評価制度の矛盾やリストラの現場を知っているため、部下との信頼関係に悩むことも少なくありません。


出典:研修トレーナー伊庭正康のスキルアップチャンネル