深夜残業のオフィスで、パソコンの前に座り続けたことを思い出す。
Accessに溜め込んだデータをExcelに渡し、帳票に仕上げる作業は毎月の恒例行事だった。
VBAで自動化したつもりでも、修正や仕様変更が入ればすぐに見直し。
今振り返ると、手間も多かったけれど、それが当たり前だった時代の空気が蘇る。
1.ExcelとAccessを組み合わせた帳票業務
当時は、基幹システムから直接帳票を出す仕組みというのはなかった。
Excelは誰でも操作できる身近なツールで、Accessは数万件単位のデータを扱える便利な存在。
この組み合わせは、現場での即席ソリューションとして多用されていた。
Excelの書式設定を整えて印刷しやすい形にして、Accessで集計や抽出を担い、二つをVBAで橋渡しする。
「これで一通りの仕事は回る」と当時の担当者たちは安心していたのだと思う。
2.VBAによる自動化の効果と限界
VBAでマクロを組み、ボタン一つで帳票が出力される仕組みは画期的だった。
作業時間が1時間から10分に短縮されることも珍しくないが、限界もあった。
新しい列が増えたり、帳票のレイアウトが変更されると、コードを修正する必要が出る。
そのたびにエラーで止まり、原因を探す時間が発生した。
「自動化しても完全には人の手を離れられない」―これは多くの現場で共通する課題だった。