レアルマドリード2001-02 ― “銀河系軍団”で見えた成功と課題

SNOW

2025-10-09


戦術局面ごとの理解

守備ブロック時

自陣では4-4-2で中盤を締め、マケレレが前線への楔をつぶした。

相手陣内でのプレス

奪い切るよりも蹴らせて回収する意図が強く、限定的なプレッシングを採用。

後方からビルドアップ

CBとマケレレを起点に、左はロベカル+ジダン、右はフィーゴが単騎で打開する流れ。

相手ゴール前の崩し方

ラウールの動き出しで生まれるスペースにジダンが侵入。
サイドからはカットバックで決定機を作った。


攻撃戦術の基本的な考え方

ポジティブトランジション

奪った瞬間にフィーゴやラウールの縦抜けを狙い、ジダンに預けて展開を整える。

オフェンストランジション

SBが押し上げ、ジダンやイエロがミドルで脅威を加える二次攻撃が多かった。

ネガティブトランジション

ロスト直後はマケレレがストッパー役。
前線は即時奪回よりも帰陣を優先し、ブロックを再構築した。

ディフェンストランジション

SBの背後を突かれやすく、CBのスライドと逆SBの絞りが生命線。
中盤の運動量が落ちると被カウンターが増えた。


対戦相手の戦術との相性

バレンシア(リーガ優勝)

堅牢な4-4-2とトランジションの鋭さが苦手。
1勝1敗で痛み分けとなったが、停滞時間が長かった。

バルセロナ(CL準決勝)

カンプノウで0-2勝利、ホームは1-1。
オープンスペースを突いてジダンとラウールが輝き、勝負強さを示した。

デポルティーボ(国王杯決勝)

自陣の堅守とカウンターで背後を突かれ、100周年記念試合で敗北。

この戦術の弱点と呼べる要素

  • 左の攻撃がロベカルに依存しすぎ。
  • マケレレへの負荷集中。
  • セットプレーと移行直後の整理不足。
  • 国内では個頼みの展開が多く、勝点の積み上げが伸びなかった。

それでも「うまくいっていた」側面

欧州の舞台では、最難関の相手を連破。
準々決勝でバイエルン、準決勝でバルサを倒し、決勝でも勝ち切った。

リーガでも最多69得点を記録。
攻撃効率はリーグ屈指で、華やかな個の力が確かに結果を残していた。


出典:Zidane Video

まとめ

2001-02のレアルは欧州で頂点に立ちながら、国内では未完成さを露呈した。

数字が示す通り、UCL優勝、リーガ3位、国王杯準優勝という成果と課題が混在する。

マケレレの奮闘とスター選手の個の力が光った一方で、移行局面の脆さも露わになった。

それでもハムデン・パークの夜に生まれたジダンの一撃は、戦術を超えて語り継がれる。

「豪華=最強」とは限らないが、最難関の夜に解を示せるのがレアル・マドリードの真骨頂だった。