戦術局面ごとの理解
守備ブロック時
自陣では4-4-2で中盤を締め、マケレレが前線への楔をつぶした。
相手陣内でのプレス
奪い切るよりも蹴らせて回収する意図が強く、限定的なプレッシングを採用。
後方からビルドアップ
CBとマケレレを起点に、左はロベカル+ジダン、右はフィーゴが単騎で打開する流れ。
相手ゴール前の崩し方
ラウールの動き出しで生まれるスペースにジダンが侵入。
サイドからはカットバックで決定機を作った。
攻撃戦術の基本的な考え方
ポジティブトランジション
奪った瞬間にフィーゴやラウールの縦抜けを狙い、ジダンに預けて展開を整える。
オフェンストランジション
SBが押し上げ、ジダンやイエロがミドルで脅威を加える二次攻撃が多かった。
ネガティブトランジション
ロスト直後はマケレレがストッパー役。
前線は即時奪回よりも帰陣を優先し、ブロックを再構築した。
ディフェンストランジション
SBの背後を突かれやすく、CBのスライドと逆SBの絞りが生命線。
中盤の運動量が落ちると被カウンターが増えた。
対戦相手の戦術との相性
バレンシア(リーガ優勝)
堅牢な4-4-2とトランジションの鋭さが苦手。
1勝1敗で痛み分けとなったが、停滞時間が長かった。
バルセロナ(CL準決勝)
カンプノウで0-2勝利、ホームは1-1。
オープンスペースを突いてジダンとラウールが輝き、勝負強さを示した。
デポルティーボ(国王杯決勝)
自陣の堅守とカウンターで背後を突かれ、100周年記念試合で敗北。
この戦術の弱点と呼べる要素
- 左の攻撃がロベカルに依存しすぎ。
- マケレレへの負荷集中。
- セットプレーと移行直後の整理不足。
- 国内では個頼みの展開が多く、勝点の積み上げが伸びなかった。
それでも「うまくいっていた」側面
欧州の舞台では、最難関の相手を連破。
準々決勝でバイエルン、準決勝でバルサを倒し、決勝でも勝ち切った。
リーガでも最多69得点を記録。
攻撃効率はリーグ屈指で、華やかな個の力が確かに結果を残していた。
出典:Zidane Video
まとめ
2001-02のレアルは欧州で頂点に立ちながら、国内では未完成さを露呈した。
数字が示す通り、UCL優勝、リーガ3位、国王杯準優勝という成果と課題が混在する。
マケレレの奮闘とスター選手の個の力が光った一方で、移行局面の脆さも露わになった。
それでもハムデン・パークの夜に生まれたジダンの一撃は、戦術を超えて語り継がれる。
「豪華=最強」とは限らないが、最難関の夜に解を示せるのがレアル・マドリードの真骨頂だった。