暗いクラブの照明の中、電子音が脈打ち、未来都市のビル群が頭に浮かぶ。
そんなサウンドスケープを描くのが、カナダ出身のアーティスト、Grimes(グライムス)です。
彼女の音楽は、ドリームポップの幻想性とサイバーパンク的な冷たさが入り混じり、独自の世界観を作り出しています。
今回は、Grimesがどんな人物で、なぜ多くの人を惹きつけているのかを整理してみます。
1. Grimesの人物像
Grimesことクレア・ブーシェは1988年にカナダ・バンクーバーで生まれました。
モントリオールのインディーシーンから頭角を現し、2010年にデビュー。
独学で音楽制作を学び、ラップトップとフリーソフトを駆使して作品を作り上げました。
彼女は音楽だけでなくビジュアルアートや映像にも強いこだわりを持ち、セルフプロデュース型のアーティストとして知られています。
AIやテクノロジーへの関心も強く、未来を先取りする存在として世界中の注目を集めています。
2. 音楽スタイル
Grimesの音楽は、ジャンルを一言でくくるのが難しいものです。
ドリームポップの浮遊感、エレクトロポップのキャッチーさ、そしてインダストリアルな硬質感。
これらが混ざり合い、サイバーパンク映画のサウンドトラックのような雰囲気を生み出しています。
代表的なアルバム『Visions』(2012年)はPitchforkの年間ベストに選ばれ、インディーシーンで大きな成功を収めました。
続く『Art Angels』(2015年)はよりポップ寄りで、グローバルなファン層を広げました。
そして『Miss Anthropocene』(2020年)では環境問題や人類の未来をテーマに据え、アーティストとしての深みを見せています。
「夢の中で聴いているのか、未来都市の雑踏で聴いているのか分からない」——そんな感覚を味わわせてくれるのが彼女の音楽です。
3. 時系列でたどる活動と話題性
2010年代前半、GrimesはDIY精神あふれるアーティストとして注目を集めました。
2012年の『Visions』で国際的にブレイクし、2015年の『Art Angels』で商業的にも成功を収めます。
その後もフェス出演やファッションブランドとのコラボを重ね、音楽以外の分野でも存在感を示しました。
2020年以降は、AIや未来社会をテーマにした活動が増えています。
プライベートでは起業家イーロン・マスク氏との交際と子どもの誕生が大きな話題に。
子どもの名前が「X Æ A-12」と発表されたときは、世界中でニュースになりました。
数字で見ても、Spotifyの月間リスナー数は常に数百万人規模。
その影響力は、単なるミュージシャンを超え、カルチャーアイコンの域に達しています。
出典:Grimes