この記事では、情報処理安全確保支援士という国家資格の意味・仕事内容・試験の難易度・勉強時間・年収などを、最新データをもとに整理して解説します。
セキュリティ分野に関心のある方に向けて、実際の数字と具体例を交えながら、資格取得のリアルなイメージをお伝えします。
「難しい資格だけど、得られる価値は大きい」という声も多く聞かれます。
その理由を、合格率・学習時間・年収の観点から見ていきましょう。
情報処理安全確保支援士とは
情報処理安全確保支援士(通称「セキスペ」「SC」など)は、IPA(情報処理推進機構)が実施する国家資格のひとつです。
企業や組織の情報システムを安全に設計・運用・維持するための「情報セキュリティ」を中心に、リスク分析・対策設計・監査・インシデント対応などを担う能力を認定する資格です。
技術だけでなく、法律・運用・ガバナンスなど幅広い知識が求められるため、単なる技術者ではなく、組織全体を俯瞰して支援できる人材の育成を目的としています。
この資格は情報処理技術者試験の中でも「高度(レベル4)」に分類されており、難易度は上位に位置づけられています。
企業のセキュリティ部門、情報システム部門、コンサルティング会社、官公庁などで重視される資格です。
仕事内容・想定される業務
情報処理安全確保支援士が担当する業務は多岐にわたります。
セキュリティに関する支援を行いながら、組織の安全運用をリードする立場に立ちます。
主な業務内容
- 情報資産リスクの分析・評価
- セキュリティポリシー・ガバナンス設計
- システムやネットワークの脆弱性診断・対策設計
- インシデント発生時の対応・フォレンジック支援
- セキュリティ教育・意識向上活動の企画・実施
- セキュリティ監査・内部統制の支援
- ISO27001など外部規格への対応支援
- セキュリティ関連プロジェクトの統括・推進
これらの業務には、技術力だけでなく、計画・交渉・マネジメント・報告といった非技術的スキルも求められます。
特にサイバー攻撃が高度化する今、単なる「守る側」ではなく、先を見据えて対策を立てる戦略的思考力が重要です。
試験の難易度・合格率
情報処理安全確保支援士試験は、情報処理技術者試験の中でも難関といわれる部類に入ります。
合格率の実績
- 2024年春期:19.3%
- 2024年秋期:15.1%
- 過去の平均:おおよそ15~20%前後で推移
この数値からもわかるように、受験者のうち合格できるのは5~7人に1人程度といわれています。
試験範囲が広く、午後の記述式問題では実務を踏まえた論理的な回答力が求められる点が、難易度を高めている要因です。
難しさの主な理由
- 試験範囲が「技術」「政策」「法令」「運用」と幅広い
- 午後試験は記述式で、論理構成力と応用力が問われる
- 午前I試験は応用情報技術者試験の共通範囲を含み、基礎知識が前提
- 年2回実施されるが、合格率は毎回低水準
ただし年2回(春・秋)実施されるため、挑戦の機会は多く、戦略的に受験を重ねることで合格のチャンスを広げられます。
出典:リス履修 -IT情報処理学部-