夜の街を歩いていると、イヤホンから小さなささやきが耳に届く。
それはただの音楽ではなく、映像や光景まで一緒に呼び起こすような声。
a子の歌声は、まるで空気そのものを震わせるように、心に染み込んでくる。
彼女が大切にしているのは「音」だけではなく、目に見える「世界観」そのものだ。
a子の経歴から見える歩み
a子は兵庫県姫路市出身のシンガーソングライター。
2018年頃から活動を始め、2020年に自主レーベル「londog」を立ち上げた。
ここから彼女の本格的な音楽活動がスタート、2024年にはポニーキャニオンの新レーベル「IRORI Records」へ移籍。
シングル「惑星」でメジャーデビューを果たし、活動のステージを広げている。
この流れだけでも、彼女が自主制作から大きな舞台へと少しずつ駆け上がってきたことがわかる。
数字でいえば、およそ5年の準備期間を経てメジャーシーンに到達した形だ。
音楽性の魅力は“ささやく声”とドリームポップの融合
a子の歌声は「ウィスパーボイス」と呼ばれる。
息を多く含んだ、囁くような声は聴く人の耳をやさしく撫でる。
その声に電子音や浮遊感あるサウンドを組み合わせることで、ドリームポップ的な世界観が広がる。
ただ幻想的なだけではない。
歌詞には不安や孤独、心の葛藤といったテーマも含まれており、聴く人は「自分のことだ」と共感する瞬間が多い。
ネガティブをそのまま肯定する姿勢が、彼女の音楽を特別なものにしている。
ビジュアルとクリエイティブへの徹底したこだわり
a子の魅力は音楽だけでは語り尽くせない。
ミュージックビデオ、ジャケット、アートワークまで、すべてに統一感がある。
それらは彼女のチーム「londog」と共に作り上げられ、妥協のないクリエイティブとして知られている。
たとえば、MVでは夜の都会を背景に淡い光が差し込むシーンが多い。
その中で彼女の声が浮かび上がると、まるで夢と現実の境目にいるような感覚を味わえる。
映像と音楽が一体となってこそ、a子の作品は完成するのだ。
出典:a子 Ako