イタリア代表がユーロ2012で見せた戦術は、今でもサッカーファンの間で語り継がれています。
その中心にいたのがチェーザレ・プランデッリ監督と、唯一無二のレジスタ・アンドレア・ピルロでした。
大胆な可変システムと、ピルロを軸にした配置の美しさは、今見返しても芸術的です。
本記事では、当時の戦術構造と最新の評価を踏まえて、あの3-1-4-2の魅力を解説していきます。
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イタリア2012の基盤となった“3-1-4-2”の構造
3-1-4-2は、数字以上に複雑で可変性のあるシステムです。
プランデッリは試合中の形を大きく変えながらも、常にピルロを中心に展開させていました。
3-1-4-2の基本配置
- 3バック
- 1アンカー(実際はピルロ)
- 4枚の中盤ライン
- 2トップ
この配置によって、中央密度を保ちながらもサイドに厚みを作れるメリットがありました。
基盤データ
- イタリアの大会平均保持率は 52.3%。
- 中盤のパス本数は スペインの次に多い2位。
- ピルロ単体の一試合平均パス数は 75.3本。
数字だけ見ても、当時のイタリアが攻撃的志向を持っていたことが分かります。
ピルロを最大化する中央の“1”の役割
プランデッリがこだわったのは、ピルロのための“空間づくり”です。
2012年というタイミングで、改めて「レジスタが中心のチーム」を成立させたことは革命的でした。
ピルロが担ったタスク
- 最終ライン手前でのビルドアップ
- ロングパスで一気に局面を変えるプレー
- セットプレーのキッカー
- 試合全体のテンポ管理
特にユーロ2012では、大会を代表するパフォーマンスとして評価され、
後の欧州メディアの再調査(2022〜2024)でも「大会MVP級」と今なお語られています。
ピルロを守る配置
- 前には運動量の多い マルキジオ と モントリーボ
- 後ろには堅牢な BBC(ボヌッチ、バルザーリ、キエッリーニ)
- サイドには走力自慢の マッジョ や ジャッケリーニ
ピルロを守り、ピルロを走らせず、ピルロに働かせる。
そのための配置が、驚くほど美しく機能していました。
ウイングバックが作る“動的な芸術”
イタリア2012の美しさは、単に中央が整理されていたことだけではありません。
サイドの上下動が、全体を“動くアート作品”にしていました。
ウイングバックの仕事量
大会トップクラスの走行距離を記録した選手が複数。
特にマッジョやバルザレッティは、90分を通して
平均15〜18回以上のオーバーラップ を行ったと言われています。
上下動の効果
- サイドで幅を確保
- ピルロのロングパスのターゲットに
- 守備時は5バックを形成
- 相手の中盤を広げて中央の密度を生かす
ユーロ2012は“ウイングバックの大会”とも呼ばれるほど、
各国でこのポジションが注目されましたが、
イタリアの使い方は群を抜いて完成度が高かったです。
バロテッリの破壊力とカッサーノの技巧
2トップは非常にバランスが良く、役割が明確でした。
バロテッリの数値
- 大会3ゴール
- ドイツ戦での 時速24km超のスプリント
- 平均シュート数 3.5本/試合
数字で見ても、当時22歳とは思えない迫力でした。
カッサーノの貢献
- 一試合平均チャンス創出数 2.2本
- バロテッリへのラストパスやポストプレーが多数
- 中盤との連携で“第2の司令塔”として振る舞う
この二人の対照的な動きが、3-1-4-2に生命を与えていました。
出典:ProBALL