作品を振り返る
おすすめ作品と魅力
- 『Film Bleu』:シューゲイザー的な質感とポップなメロディが融合したデビュー作です。
- 『New Young City』:トリプルギター編成の厚みと、耽美でダンサブルな楽曲が揃った作品です。
- 『Hotel Insomnia』:歌詞・サウンドともに成熟し、バンドの集大成として評価されています。
受け継がれる表現性
細部までこだわったギターアレンジ、浮遊感のあるボーカル、そして“青さ”や“切なさ”をまとった世界観が、For Tracy Hydeの普遍的な魅力になっています。
海外の音像を吸収しつつ、日本の情緒を残したサウンドは、多くのリスナーに強い印象を残しました。
解散後のメンバーの動向
- ボーカルのeurekaは、他バンドのギター・コーラスとして活動を継続しています。
- 夏botは新バンド「エイプリルブルー」に参加し、ギターや作曲を担当しています。
- Mavや草稿もそれぞれ音楽活動を続ける意思を示しています。
バンドが終わっても、音楽をやめるのではなく前進していく姿がとても前向きに感じられます。
私が感じたFor Tracy Hydeの魅力
For Tracy Hydeを聴いていて最も心に残ったのは、“丁寧で繊細なのに尖っている”という絶妙なバランスでした。
海外インディの系譜に連なる音像を持ちながら、日本人の感性だからこそ出せる温度感や情緒がはっきりと感じられます。
ライブでは音源以上にまっすぐで、視線の先にリスナーがいるような歌い方に惹かれました。
大きなヒットではなくても、静かに深く心に残るバンドだったと思います。
出典:For Tracy Hyde
まとめ
For Tracy Hydeは2012年に始まり、チルウェイヴやシューゲイザーの質感と日本的ポップ感覚を融合させた独自のサウンドで、多くのインディファンに愛されてきました。
5枚のアルバムを残し、アジアツアーや海外フェス出演を果たしながら、2023年3月のラストライブで活動を終えました。
それでも、メンバーそれぞれが新たな音楽へ歩み続けている点は、バンドの解散を“終わり”ではなく“次の始まり”として感じさせてくれます。
気になった方は『New Young City』や『Hotel Insomnia』から聴くと、バンドの世界観が分かりやすいのでおすすめです。
参考リンク
https://fortracyhyde.com/2023/01/05/disbandment-announcement-jpn/
https://ja.wikipedia.org/wiki/For_Tracy_Hyde
https://ele-king.net/interviews/009170/
※haruka nakamura – 寄り添うアンビエントの世界を描く音楽家