アルゼンチン2022 – “神の子”メッシが念願のW杯を獲得した可変式4-3-3の理想形

SNOW

2025-12-05

対戦相手の戦術との相性

メキシコ戦

中央を固めてきた相手に対し、外→中のリズムで崩し、メッシのミドルシュートとエンソのコントロールシュートが試合を決めた。

オランダ戦

3バックの裏を狙い続け、延長でも集中を切らさずPK戦で勝利、空中戦とセカンドボールの整理が光った。

クロアチア戦

中盤の支配を許さず、アルバレスの長距離カウンターで主導権を奪い、縦の推進力でモドリッチを押し込んだ。

フランス戦(決勝)

3-3の死闘の末、PKで勝利、ムバッペの爆発力に対し、可変型の秩序と冷静さで耐え抜いた。


戦術のストロングポイントとウィークポイント

典型的な勝ちパターン

左の幅(ディ・マリア)+右の自由(メッシ)+中央の動き(アルバレス)。

この“三層攻撃”で崩しとフィニッシュのバランスを作り、リード後は4-4-2で距離を短く管理。

トランジションを最小限にし、リスクを抑えて試合を終わらせる。

この戦術の弱点と呼べる要素

メッシを残すため、もう一人の守備免除は許されない。

相手の速攻に対してSBの背後を突かれると一気にピンチになる。

そのため、デ・パウルの制動とマルティネスの広い守備範囲が欠かせなかった。

負けパターンがあるとしたら

前線でボールを受けたがる選手が増えると、中央がスカスカになる。

中盤の再奪回が遅れると、ロングカウンターで致命傷を負う。

終盤に空中戦へ付き合いすぎると、セカンド処理で体力を削られやすい。


メッシは守備をしない?

「メッシは守備をしない」という批判は表面的だ。

実際はポジション取りで相手のラインを下げ、ブロック維持に貢献していた。

可変式4-3-3は“走らない守備”を前提に、他の9人の動きで補完する構造として完成していた。


チームをつないだデ・パウルの存在

戦術デ・パウル?

メッシは7得点3アシストを記録し、史上初となる2度目のゴールデンボールを受賞。

エンソは最優秀若手賞、マルティネスはゴールデングローブを受賞し、攻守の中心を担った。

そして何より、デ・パウルの運動量と献身が、メッシの自由を守っていた。

ピッチ外での活躍

ロッカールームでは、デ・パウルがムードメーカーとして欠かせない存在だった。

メッシに常に寄り添い、場を和ませ、緊張をほどく。

チームの明るさは戦術の柔軟さにもつながり、戦術と同時に選手たちの“可変”も最大の強みだったのかもしれない。


出典:MagicalMessi

まとめ

可変とは迷いではなく、チームの合意、個の輝きと組織の役割を明確に分担しながら融合させた。

また今大会で、アルゼンチン代表の11人すべての選手が、チームのためにプレーをした大会だったと言える。

そして数字は結果を彩り、物語はドーハの夜にフィナーレを迎えた。

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