職場の「心のコンディション」を整える仕事として、心理カウンセラーへの期待がじわじわ高まっています。
2026年のいま、企業も学校も行政も、メンタルヘルスを「コスト」ではなく「投資」として見る流れが強くなりつつあります。
一方で、AIカウンセラーやメンタル系アプリの登場で、「人間のカウンセラーってこれからどうなるの?」という不安も出てきています。
この記事では、最新のデータを交えながら、心理カウンセラーが活躍しやすい職場と、これからの伸びしろについて整理していきます。
Contents
心理カウンセラーを取り巻く2026年の環境
まず押さえておきたいのは、「職場のメンタルヘルスはすでに大きな経営テーマになっている」という点です。
厚生労働省の調査では、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所は全体の約63.8%とされています。
裏を返すと、まだ約4割の事業所では、十分な体制が整っていないということになります。
さらに、連続1か月以上休業するメンタル不調者がいる事業所も1割以上にのぼると報告されています。
休職・離職にともなう生産性の損失は、国内全体で年間数兆円規模と試算されており、企業にとっても看過できない数字です。
リモートワークやハイブリッドワークが広がったことで、ストレスの中身も変わってきています。
海外の研究では、リモートワーカーでストレスが約12%、不安感が約15%増加したという報告もあり、働き方の変化が心に与える影響は無視できません。
こうした背景から、「産業医+心理カウンセラー+デジタルツール」という組み合わせで職場メンタルを支える動きが広がりつつあります。
データから見るメンタルヘルスと企業ニーズ
日本の事業所全体でメンタルヘルス対策に取り組んでいる割合は約6割ですが、規模別に見るとかなり差があります。
従業員100人以上の企業では9割以上が何らかの対策を実施している一方で、30人未満の小規模事業所では取り組み率が5〜6割台にとどまっています。
大きな会社ほど制度は整いがちですが、現場で「人に話せる場」が十分に機能しているかどうかは、また別問題です。
経済産業省の資料でも、メンタルヘルス対策をしている企業の多くが「十分な効果を実感できていない」と答えていることが指摘されています。
特に、外部サービスを導入したものの、活用しきれていないケースが目立つとされています。
この「制度はあるけど、現場でうまく回っていない」というギャップを埋める存在として、心理カウンセラーの活躍の余地が大きくなっています。
数字で見ると、
- メンタルヘルス対策に取り組む事業所:およそ6割
- 連続1か月以上のメンタル不調休業者がいる事業所:およそ1割
- メンタル不調による経済損失:年間数兆円規模
こうしたデータを見ると、「心理カウンセラーの需要はすでにある程度顕在化しており、今後もじわじわ増え続けるだろう」と考えられます。
心理カウンセラーが活躍する具体的な職場タイプ
ここからは、「実際にどんな職場なら心理カウンセラーが活躍しやすいか」という視点で整理していきます。
企業内・EAP(従業員支援プログラム)
もっとも分かりやすいフィールドが、企業内のメンタルヘルス相談窓口やEAPです。
大企業では、産業医と連携して、社内または外部委託のカウンセラーが定期的に面談を行う体制が一般的になってきています。
ストレスチェック制度とセットで、「高ストレス者への面談対応」や「復職支援」「管理職向け相談」が典型的な仕事になります。
最近は「健康経営」を掲げる企業も増えており、メンタルヘルスを含めたウェルビーイング戦略の一部として、心理カウンセラーが企画段階から関わるケースも出てきています。
中小企業では専任を置けないことが多いため、複数企業をかけ持ちする外部カウンセラーのニーズが伸びやすい領域です。
医療・福祉・教育の現場
医療機関やクリニック、リハビリ施設、福祉施設などでも心理カウンセラーは活躍できます。
ここでは、医師や看護師、ソーシャルワーカーとチームを組みながら、患者さんや家族の心理的サポートを行うことが多いです。
学校現場では、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーとして、子どもだけでなく保護者や教職員の相談に乗る役割も重要になっています。
いじめ、不登校、発達特性、家庭環境の問題など、テーマは非常に幅広いです。
教育現場は行政予算の影響も受けるため、雇用形態は非常勤が中心ですが、社会的意義の高いフィールドです。
行政・自治体・地域の相談窓口
自治体の相談窓口や、地域の保健センター、ハローワークなどにも、心理職の枠が増えてきています。
「ひきこもり支援」「子育て支援」「DV・虐待相談」「就労支援」など、テーマ別の相談窓口に心理カウンセラーが配置されるケースが増加傾向です。
高齢者の孤立や、地域での孤独・孤立対策も、今後ますます重要になる分野です。
行政系の仕事は採用試験や公募が必要ですが、「安定性」と「公共性」を重視したい人には相性の良いフィールドです。
オンライン・テレワーク時代のカウンセリング
コロナ禍以降、オンラインカウンセリングは一気に市民権を得ました。
今も、ビデオ通話や音声通話、チャットを組み合わせたオンライン相談サービスが増え続けています。
ここでは、時間帯や居住地に縛られにくい働き方ができるのが大きな特徴です。
一方で、ネット越しの関係性づくりや、危機介入の難しさなど、対面とは違うスキルも求められます。
海外の研究では、オンラインで働くカウンセラーが「自宅が常に職場になる」ことで、感情労働の負荷が高まるという指摘もあります。
オンラインで活動したい心理カウンセラー自身のセルフケアや境界線の引き方も、これから重要なテーマになっていきます。
出典:職場の心理カウンセラー あおい