日本競馬の歴史が塗り替えられた瞬間、私たちはその場に立ち会っていました。
ダート馬として史上初めてJRA年度代表馬に選出された、砂の王者フォーエバーヤング。
これまで「芝主軸」だった日本の競馬界において、彼の存在は地殻変動に近い衝撃を与えました。
圧倒的な身体能力はもちろん、海外を渡り歩く「鋼のメンタル」の正体に深く迫ります。
Contents
日本馬初の快挙!ダート馬が年度代表馬に
かつて、日本のダート馬が年度代表馬になるなど、誰が想像できたでしょうか。
これまでの名馬たちが跳ね返されてきた世界の壁を、彼はまるで存在しないかのように突き進みました。
その足跡は、2026年現在、もはや伝説の領域へと達しています。
世界を制圧した2025年の衝撃的なスタッツ
2025年、彼はアメリカ競馬の最高峰「ブリーダーズカップ・クラシック」で歴史的勝利を飾りました。
日本馬にとって「最も高い壁」とされてきたアメリカの砂を、彼は自らのパワーで克服したのです。
さらに世界最高賞金の「サウジカップ」では、2025年、2026年と連覇を達成。
獲得賞金は日本馬として歴代1位を独走しており、数字の上でも「最強」を証明しています。
記録が物語る「負けない」強さ
- サウジカップ(G1)連覇:世界中の強豪を相手に圧倒的な持続力を見せた
- BCクラシック(G1)制覇:アメリカの砂を攻略した日本馬初の快挙
- 海外遠征時の馬券内率:過酷な輸送を繰り返しながら驚異の100%を維持
- 3歳時のケンタッキーダービー:ハナ・ハナ差の3着が、後の覚醒のきっかけに
出典:NBC Sports
鋼のメンタル≒馬界のマイケル・ジョーダン
「メンタルが強い」というのは、ただ性格が明るい「陽キャ」であることを意味しません。
フォーエバーヤングの強さは、極限のプレッシャー下でこそ輝く「不屈の闘争心」にあります。
その性質は、バスケットボール界の伝説、マイケル・ジョーダンを彷彿とさせます。
環境変化を笑い飛ばす驚異の適応力
普通の馬は、長時間の飛行機移動や異国の検疫だけで、ストレスから食欲を落としてしまいます。
しかし、彼はサウジアラビアでもアメリカでも、到着したその日に飼い葉(飯)を完食します。
「どこへ行っても自分のリズムで爆睡できる」という図太さこそが、彼の最大の武器です。
知らない土地でパニックにならず、日常を貫けるその精神性は、もはや悟りの境地です。
逆境でこそ牙を剥く「クラッチ能力」
ジョーダンが試合終了直前のシュートを必ず決めるように、彼は直線の叩き合いで絶対に怯みません。
2024年のケンタッキーダービーで、他馬と激しく体をぶつけ合いながら加速した姿を覚えていますか。
「抜かせない」という執念と、「泥を浴びるほど燃える」という勝負根性は、教育で教えられるものではありません。
並の馬なら戦意喪失するような砂嵐(キックバック)の中を、彼はメンチを切りながら突き進むのです。
出典:世界の競馬
矢作厩舎のロジカルかつプロフェッショナルな育成戦略
フォーエバーヤングという才能を、腐らせることなく開花させたのは「世界のヤハギ」こと矢作芳人厩舎です。
そこには「馬を家畜としてではなく、一流のアスリートとして扱う」という哲学がありました。
既成概念を打ち破る「世界基準」の遠征計画
「日本で勝ってから海外へ」という古い慣習を捨て、彼は若いうちから世界中を飛び回りました。
サウジ、ドバイ、アメリカ、そして韓国……多様な砂質と環境を経験させることで、どんな状況でも動じない精神を構築したのです。
これは、管理する側にとっても非常に勇気のいる、リスクを伴う丁寧な「英才教育」でした。
結果として、彼は日本という枠に収まらない「グローバルスタンダードな怪物」へと育ちました。
オンとオフの切り替えが完璧なプロの流儀
普段の彼は、厩舎スタッフに甘えるような仕草も見せる、非常に穏やかな性格だと言われています。
しかし、一度パドックに出て坂井瑠星騎手が跨ると、その瞳には殺気が宿り始めます。
「走るべき時」と「休むべき時」を自ら理解しているような、その賢さもまた超一流の証です。
無駄なエネルギーを一切使わず、ゴールの瞬間だけ100%を出し切る姿は、まさに精密機械のようです。
出典:JRA公式チャンネル