今回は、私自身が実際に体験した「特殊詐欺」の恐ろしすぎる手口についてお話しします。
警察を名乗る電話の巧妙さは、想像を絶するレベルで、仕事熱心な人ほど危ないと感じました。
なぜ私は信じてしまったのか、そしてどこで踏みとどまることができたのか。
最新の詐欺トレンドと対策を交えながら、私の「生還記録」をシェアしたいと思います。
突然の電話と「重要参考人」の通告
ある日の昼休み、私のスマホに見知らぬ番号から着信がありました。
出てみると相手は非常に落ち着いたトーンで、私の姓(もちろん実名です)を正確に呼びました。
「香川県警の者です」と名乗り、私のクレジットカードが重大な犯罪に使用されていると告げられました。
徳島県警本部から出頭命令が出ていると言われ、本当かなぁ?と思ってしまいました。
「まさかトラブルに巻き込まれたのか」と変な納得感を持ってしまったのが最初のミスでした。
警察庁の最新データ(2024年累計)によると、こうした「警察・検察を名乗る詐欺」の被害額は急増しているようです。
1件あたりの被害が、数百万円にのぼることも珍しくないとのことでした。
リアルすぎる演技と「指名手配」の恐怖
相手の話し方は極めて事務的で、犯人の実名や、対応しているという刑事の氏名までスラスラと答えてきました。
さらに、電話の途中で「徳島県警に繋ぎます」と転送され、別の担当者が現れたことで、私は完全に信じ込んでしまいました。
こちらの質問にも淀みなく答え、本物の警察官と話しているとしか思えないほど誠実(に見える)な対応だったのです。
さらに、「今電話を切れば容疑者として指名手配され、長期間勾留もされる」と強く警告されました。
まさに「逃げるつもりはない」をアピールしなければという一心で、電話を切るに切れない心理状態になりました。
隔離された場所への巧みな誘導
- 密室の指定: 周囲に歩行者がいると機密漏洩になると言われ、個室へ行くように指示されました。
- 具体的な場所: 「カラオケボックス」か「レンタルオフィス」という指定があり、私は自転車で駅前のカラオケ店に向かいました。
- 思考の停止: 「重大事件だから秘匿が必要だ」というロジックを信じ、昼休み中に必死に移動してしまいました。
誤認されている状況からカタルシスの期待
電話で重大犯罪の詳細を聞かされている間、不思議と心がざわつきながらも、少し高揚していました。
身の潔白はすでに証明できているようなものなので、あとは大事件の内幕を一人称で聞けるかもしれないという期待感だけです。
本来は不安になるはずの状況かもしれませんが、どこかで物語の中心に立っているような、メタで認識して楽しんでいる自分がいました。
疑われている最中でしたが、明らかに自分は悪くないので、潔白を示せるというカタルシスを期待していたのかもしれません。
たまたま交番に行って我に返る
駅前のカラオケ店に向かう道中、ふと視界に街の交番が入りました。
「わざわざカラオケから電話するより、目の前の交番で説明したほうが早いし確実じゃないか?」
今思えば、この偶然の判断が私の人生を救ってくれました。
私は電話を繋いだまま交番に飛び込み、「徳島県警に出頭しろと言われています」とお巡りさんに伝えました。
その瞬間、さっきまで熱心に話し続けていた電話が、何の説明もなく「プツッ」と切れました。
警察官の方から「特殊詐欺ですね」という冷静な声、まさに「魔法が解けた」ような感覚になりました。
出典:読売テレビニュース