パンデミックや気候危機、技術革新といったグローバルな課題が山積する中、「GREAT RESET(グレート・リセット)」という概念が世界で注目を集めています。
この言葉は陰謀論的な文脈で語られることもありますが、元々は経済・社会の持続可能性を目指す構想です。
現代の社会システムをいったん見直し、新しい価値観に基づく仕組みを築くという大胆な提案に、多くの賛否が渦巻いています。
本記事では、GREAT RESETの背景、構想、そしてその是非について解説していきます。
1.GREAT RESETという概念の誕生と背景
「GREAT RESET」は、2020年にスイスのダボスで開催された世界経済フォーラム(WEF)のテーマとして正式に提示されました。
WEFの創設者クラウス・シュワブは、世界がコロナ危機によって「リセット」される機会を得たとし、資本主義の再構築、気候変動への対応、社会的格差の是正を提唱しました。
事実として、この構想は以下のような3本柱から成り立っています:
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市場経済を株主中心からステークホルダー中心に移行すること
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気候変動・環境保全に配慮したグリーン経済への転換
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デジタル化・第四次産業革命による労働構造の変化への対応
このような考え方は、以前から存在していたサステナブル資本主義やSDGsと共鳴する側面があり、突飛な思想ではありません。
ただし、その変革のスピードと範囲に驚く人が多く、そこに不安や反発も生まれたのです。
2.なぜ「再構築」が必要とされるのか
GREAT RESETが提案される背景には、既存システムの限界があります。
たとえば、2008年のリーマンショック以降、世界の富は一部の超富裕層に集中し、所得格差は拡大の一途をたどっています。
また、地球温暖化や感染症などのグローバルリスクに、現在の制度では柔軟に対応しきれないという問題も指摘されています。
こうした課題を前に、単なる小手先の制度改革ではなく、土台からの見直し――つまり“リセット”が必要だとする考えが生まれました。
教育制度や社会保障、働き方やエネルギー政策など、あらゆる面にわたる再設計が求められており、これはまさに「未来の社会をどう描くか」の問題でもあります。
その中で「デジタル通貨」「ベーシックインカム」「カーボンニュートラル」といったキーワードが登場し、社会の設計図がアップデートされようとしているのです。
3.賛否両論と今後の可能性
GREAT RESETには、当然ながら賛否があります。
支持者は「今こそ持続可能な社会に転換するチャンス」と捉え、政府と企業、個人が協力して変化を受け入れるべきと主張します。
一方で、急激な社会構造の変化に懸念を抱く人々は、「エリートによる支配構造の固定化ではないか」「監視社会が進むのでは」と警戒心をあらわにしています。
実際、GREAT RESETに関する陰謀論も一部では流布されており、情報の真偽を見極めるリテラシーも必要です。
しかしながら、社会が変わることそのものを恐れるのではなく、その中でどうやって個人が主導権を持つか――この視点が大切です。
未来は自動的に訪れるものではなく、私たちが形作っていくものです。
GREAT RESETが理想的な社会の青写真となるか、それとも反発と混乱を招くかは、私たちの選択と行動にかかっています。
まとめ
GREAT RESETとは、経済や社会の根本的な再設計を目指す構想です。
サステナビリティやデジタル化の潮流を背景に、従来の資本主義からの転換が求められている中で提案されました。
その内容には理想と不安が混在しており、議論を呼んでいます。
私たちにできることは、一方的に拒絶するのでも受け入れるのでもなく、「どんな社会を望むか」を問い続け、自ら関わっていく姿勢ではないでしょうか。
※グレート・リセット ダボス会議で語られるアフターコロナの世界(Amazon)
SNOWさんが思うこと
既得権益という言葉を理解するのに何年もかかったSNOWさんですが、そういうのは誰にでもあることだと思います。
いまある生活が嫌な人もいるだろうけど、それなりに安心できている環境を手放すのはすごく勇気がいることです。
僕もソフトウェアエンジニアが今後いらなくなっていくという記事を見るたびに、ちょっと焦ります。
でも実際はそういった心配というのはだいたい杞憂に終わるというのも、世の中そこまですべてがハイレベルではないからだと思っています。
意外と適当で、抜け穴がたくさんあって、ダメなところもあって、良いところももちろんあるけど、支え合いながら生きていくというところは変わりようがないんだろうなという気がしています。