リヴァプール2004-05 イスタンブールの奇跡はなぜ起きたのか?

SNOW

2025-10-18

夜空の下、イスタンブールのアタテュルク・スタジアムは赤と白に染まっていました。

UEFAチャンピオンズリーグ決勝、リヴァプール対ACミラン。

前半終了時のスコアは0-3、誰もが勝負ありと思ったでしょう。

しかし後半、そこから歴史的なドラマが始まります。

1. ミランが前半で優位に立った理由

ACミランは当時、欧州屈指の戦力を誇るチームでした。

フォーメーションは4-4-2のダイヤモンド型。

ピルロが底から展開し、トップ下カカがライン間でボールを受け、クレスポとシェフチェンコが裏へ抜け出す。

開始1分のマルディーニのゴールで勢いに乗り、39分と44分に追加点を奪って3-0。

数字の裏には、中央で数的不利を強いられたリヴァプールの構造的な弱さがありました。

サイドを使わないミランの布陣に対して、リヴァプールの両SBは宙に浮き、守備人数は足りない。

さらに攻撃の要として先発したキューウェルは負傷交代。

これも痛手でした。

冷静さを保ったミランと、焦りで間延びしたリヴァプール。

このコントラストが前半の結果を生んだのです。


2. ベニテスのハーフタイムの秘策

0-3で迎えたロッカールーム。

選手たちは沈黙し、絶望が漂っていました。

しかしラファエル・ベニテス監督は感情的にならず、戦術修正を指示します。

守備陣形を3バックに切り替え、中盤にハマンを投入して数的不利を解消。

両ウイングバックを高く配置し、サイドを起点にミランの守備を広げるよう求めました。

これによりジェラードは攻撃に専念できる位置に解き放たれます。

「まず1点」と強調された狙いが現実となり、後半9分、ジェラードのヘディングで反撃がスタート。

6分間で3得点。シュミツェルのミドル、アロンソのPK弾と続き、スコアは3-3。

ベニテスの冷静な策が、流れを一気に引き寄せた瞬間でした。


出典:Football Park Classic