パソコン画面に突然現れて、つぶらな目でこちらを見つめるキャラクター。
「手紙を書いているようですね」と、ちょっとおせっかいに声をかけてきた存在を覚えていますか。
彼らの名前は、世界では「クリッパー」、そして日本では「カイル」。
実は世界中で愛され、同時にうっとうしがられた“機械学習アイドル”だったのです。
1. カイルくんとは何者か
カイルくん(クリッパーくん)は、マイクロソフトが1997年に「Office 97」に搭載したアシスタント機能です。
クリップの形をしたキャラクターがユーザーの操作を検知し、次の行動を予測してサポートを申し出ました。
日本では同じアシスタントの一員としてイルカ型の「カイル君」が人気で、多くのユーザーが彼に親しんでいました。
当時のMicrosoft Officeは世界シェア90%を超え、数億人が利用していました。
そのため、カイルくんは瞬く間に“世界で最も多くの人に見られたキャラクター”の一つとなったのです。
2. 早すぎた『機械学習アイドル』
カイルくんは、ただのソフト機能ではありませんでした。
愛嬌ある目線、アニメーション、親しげな言葉づかい。
「便利な機能」であると同時に、ユーザーの心をつかもうとする“アイドル的キャラクター”だったのです。
しかし現実には「うっとうしい」「邪魔」と感じる人も多く、ユーザー調査では好感度が低迷。
2003年の「Office 2003」では事実上の引退となりました。
つまり彼らは「アイドル活動に失敗した機械学習キャラ」でもあったのです。
出典:アヤノ