エティハド・スタジアムの芝が濡れ、ボールは滑るように走る。
2020-21シーズンのシティを象徴するのは、水色のユニフォームが一定の距離を保ちながら常に連動して動く戦術。
選手たちは同じプログラムを共有して、お互いに考えていることをすべて熟知しているかのようでした。
2020-21シーズンのシティは、現代サッカーの完成度を示す、生きたシミュレーションでした。
時代の背景
2020-21シーズンは新型コロナウイルスの影響で無観客試合が多く、異例の過密日程となりました。
グアルディオラ監督はこうした制約を逆手に取り、選手の運動量を最適化するシステムを再設計しました。
結果はプレミアリーグ優勝、リーグカップ優勝、そしてクラブ史上初のチャンピオンズリーグ決勝進出。
このシーズンは、シティが「支配するチーム」から「勝ち切るチーム」に進化した瞬間でした。
選手構成とメイン配置
GKエデルソンの足元から試合が始まる。
センターバックはディアスとストーンズ、そしてラポルテ。
サイドバックはウォーカーとカンセロ、ジンチェンコ。
特にカンセロは、中盤へ絞って特典も狙う偽SBとして機能しました。
中盤はロドリ、ギュンドアン、デ・ブライネ、フェルナンジーニョが軸。
前線はスターリング、マフレズ、フォーデンがローテーションし、固定されたCFは不在。
アグエロ不在でも攻撃は止まらず、フォーデンやデ・ブライネが偽9番を担いました。
選手配置の意味と戦術
シティの配置は「5レーン理論」に忠実です。
サイド・ハーフスペース・中央をバランスよく埋め、常にパスコースと数的優位を確保します。
デ・ブライネがハーフスペースで受けると、フォーデンが裏へ抜け、ギュンドアンが二列目から飛び込む。
ボール循環はCBとアンカーで三角形を作り、相手の第一プレスを外して前進。
攻撃と守備、両方で「どこに誰がいるべきか」が緻密に計算されていました。
