結婚を意識するうえで、実は学ぶべき教養は家事や家計だけではありません。
人と支え合い、コミュニケーションを重ね、感情や判断を共にする力――それらを育てる教育が注目されています。
そのひとつが、世界的に広まっている「社会的情動学習(SEL)」です。
本記事では、最新情報を交えながら、SELがなぜ「結婚するための教養」として有効なのか、具体的に紐解いていきます。
SELとは何か
SELの定義と構成要素
SELとは、自分・他者・社会との関係において、感情・思考・行動を調整したり、他者とのやりとりを通じてより良い選択をしたりする能力を育てる教育のことです。
具体的には、米国の教育団体CASELが次の5つを掲げています。
- 自己認識(Self-Awareness)
- 自己管理(Self-Management)
- 社会認識(Social Awareness)
- 関係構築スキル(Relationship Skills)
- 責任ある意思決定(Responsible Decision-Making)
SELが世界的に広がっている現状
アメリカでは2017年から2024年にかけて、SELカリキュラムを採用する学校が約46%から83%へと急増しています。
教育市場全体でも、2025年には約42億ドル規模に達すると見込まれています。
この背景には、「学力だけでなく、人間関係や感情の扱い方も重要である」という考え方の広まりがあります。
結婚生活に直結するSELスキル
感情の理解とコントロール
結婚生活では、相手の気持ちに気づく「社会認識」や、自分の感情を受け止めて冷静に対応する「自己管理」が欠かせません。
研究では、感情を理解・管理できる力が高い人ほど、学校・職場・家庭などの環境で良好な人間関係を築きやすいことが示されています。
コミュニケーションと関係構築
「関係構築スキル」は、まさにパートナーシップの核となる力です。
意見が合わないときに落ち着いて話し合う、相手の立場を尊重する、協力して問題を解決するなど、日常の中で自然に求められるスキルです。
結婚を「共に生きる関係」として考えたとき、これらのスキルは一種の教養だといえます。
意思決定と支え合い
「責任ある意思決定」は、人生設計や家計、子育て、介護などに関する選択を行う際に非常に重要です。
SELの考え方では、何かを決める前に「自分と相手にとってどうか」を一緒に考える姿勢を育てます。
この姿勢こそ、結婚後における共同生活の安定につながります。
出典:精神科医がこころの病気を解説するCh