マンチェスター・ユナイテッドの1998-99シーズン。
当時の監督アレックス・ファーガソンとスター選手デイヴィッド・ベッカムを中心に、その「伝説のスカッド」が成し遂げた偉業を振り返ります。
このシーズンは、プレミアリーグ、FAカップ、そしてチャンピオンズリーグという主要3大タイトルを同時制覇した、まさに“トレブル”の時期でした。
また、2025年現在から見てもなお色あせない、その戦術・人材構成・そして今に続く影響についても触れていきます。
背景と出発点
前年のユナイテッドは、1997-98シーズンにリーグ2位でフィニッシュし、わずかにタイトルを逃していました。
ファーガソン監督は再び頂点に立つため、守備と攻撃の両面でチームを再構築します。
特に、オランダ代表のヤープ・スタムをPSVから獲得し、ドワイト・ヨークをアストン・ヴィラから迎え入れるなど、堅実で即戦力の補強が行われました。
こうして、「伝説」と呼ばれるシーズンへの下地が整っていきました。
戦術とスカッド構成
当時のユナイテッドは、基本フォーメーションとして4-4-2を採用していました。
ヨークとアンディ・コールのツインストライカーは抜群のコンビネーションを発揮し、リーグ戦では二人で18点以上を挙げる活躍を見せました。
ベッカムは右サイドからのクロスやフリーキックで多くのチャンスを演出し、チームの創造性を担っていました。
守備面では、スタムを中心としたディフェンスラインが安定感をもたらし、ベテランと若手のバランスも絶妙でした。
主な数値データ
- プレミアリーグ優勝:1位
- FAカップ優勝:達成
- UEFAチャンピオンズリーグ優勝:達成
- シーズン中の敗戦数:わずか5回
- イングランドのクラブとして史上初のトレブル達成
こうした圧倒的な実績を残しながらも、ユナイテッドは常に“劇的な勝利”を演じ続けたのが特徴です。
キーモーメント
特に印象的なのが、チャンピオンズリーグ決勝戦です。
相手は強豪バイエルン・ミュンヘン。
1点ビハインドのままロスタイムに突入した試合で、途中出場のシェリンガムとスールシャールが立て続けにゴールを決め、劇的な逆転優勝を果たしました。
また、アウェイ戦33試合無敗という驚異的な記録も、この時期に樹立されています。
シーズン後、ファーガソン監督はその功績を称えられ、ナイトの称号を授与されました。
出典:Manchester United