「10年後にはなくなる」と10年前に言われていた職業がいま実際どうなっているか確認する企画
10年前は「AIや自動化で仕事が消える」という話題がいま以上にバズりやすい空気でした。
でも現実は、職業が丸ごと消えるというより「仕事の中身が入れ替わる」ケースが多いです。
今回は当時よく槍玉に挙がった職業をいくつか取り上げて、いまどう変わったかを確認します。
Contents
10年前の「消える職業」ブームは何が根拠だったか
当時の議論は、ざっくり言うと「定型作業は機械に置き換わる」という見立てが中心でした。
象徴的なのが、米国の雇用のうち約47%が高い自動化リスクにある、という推計が広く引用された流れです。
一方で、近年の整理だと「全部消える」よりも「仕事が変わる」が主戦場になっています。
たとえばOECDは、今後15〜20年で自動化により消える可能性がある仕事が約14%、一方で約32%はタスクが大きく変化しうる、という見立てを出しています。
いま実際に変わった職業(消滅ではなく“役割チェンジ”)
ここからは「10年前に消えると言われがちだった職業」を、いまの変化で見ていきます。
結論から言うと、減ったのは“作業”で、残ったのは“例外対応”と“人に寄り添う部分”です。
レジ係・チケット販売員
レジはセルフ化が進み、「打つ人」から「見守る人」へ寄りました。
キャッシュレス比率も上がって、現金処理の手間が相対的に小さくなっています。
日本のキャッシュレス決済比率は、2024年に42.8%まで到達しています。
この流れだと、レジの仕事は「精算」より「案内・トラブル対応・防犯・商品管理寄り」になります。
箇条書きにすると、現場の残り方はこんな感じです。
- 操作に慣れていない人のサポートをする役。
- 年齢確認や返品など、ルール判断が必要な対応をする役。
- 不正やエラーを見つけて止める役。
銀行窓口(テラー)
銀行窓口も「日常取引」はネットやアプリに寄って、窓口は減る方向で動いてきました。
ただ、完全消滅というより「相談・手続きが重い案件」に寄せて生き残っています。
相続、住宅ローン、法人の相談、本人確認が厳しい手続きなどは、結局人の出番が残りやすいです。
さらに、銀行は“店舗数を維持すること”が目的ではなくなってきていて、拠点の最適化が普通の経営テーマになっています。
実際に、大手行の開示資料でも店舗数の記載があり、年次で微減していく空気が見えます。
データ入力・一般事務(入力中心)
ここは予測がかなり当たった側です。
入力、転記、定型チェック、単純集計は、RPAや業務システム、さらに生成AIで一気に圧縮されました。
とはいえ「事務職そのものが消えた」ではなく、役割が上流に移動します。
たとえば、次のような方向です。
- 入力ではなく、入力ルールを整える側。
- ミスや例外を拾って、原因を潰す側。
- 関係者調整や問い合わせ対応をする側。
これがいわゆる「職業は残るが、担当するタスクが入れ替わる」の典型です。
WEFのレポートでも、事務・秘書系やデータ入力系、レジ系は需要が減る見込みとして繰り返し挙げられています。
翻訳(直訳・一次翻訳)
翻訳は「直訳を作る作業」はAIが強くなり、単価も体感的に厳しくなりました。
ただし、消えたというより「翻訳の価値が移った」が近いです。
いま強いのは、翻訳後の編集や品質保証です。
意味のズレのチェック、トーンの統一、法務・医療などのリスク管理、用語集の整備などですね。
つまり「翻訳者」という看板は残りつつ、中身が“翻訳する人”から“翻訳を成立させる人”へ寄っています。
出典:PIVOT 公式チャンネル