サッカーというスポーツは、戦術が非常に重要です。
4-4-2や3-5-2のような定番のフォーメーションや戦術は、多くの監督たちによって繰り返し使われてきました。
しかし、世の中にはそれらとは一線を画す、ひねくれた、わけのわからない戦術が存在します。
今回は、実際に存在した「本当にこれで勝つつもりなの?」と思わせるような奇妙な戦術をいくつかご紹介します。
1. ディフェンダー全員前線送り出し戦術
まず紹介したいのは、ディフェンスライン全員を前線に送り出す「無防備戦術」。
かつて、ある低迷していたチームの監督が試みたこの戦術は、ディフェンダーを全員前線に配置し、後ろにはゴールキーパー一人という大胆なスタイルでした。
試合中、ディフェンスは存在しないも同然。
攻撃的なサッカーを目指したものの、相手チームにカウンターを許し、最終的には大量失点。
その試みは、二度と採用されることはありませんでした。
2. 「ゾーン無視の完全マンマーク」
次に紹介するのは、ゾーンディフェンスを完全に無視した「マンマーク至上主義」。
ある監督は、「自分のマークマンさえ抑えればいい」と考え、選手全員に特定の相手選手を常に追いかけるよう指示しました。
その結果、相手選手がピッチのどこにいても、自チームの選手がついて回るという、カオスな状況が生まれました。
最終的に、戦術に忠実すぎた選手たちは、試合の流れを全く無視して相手に振り回され、試合後半には疲労困憊。
それでも監督は「理論的には正しい」と信じ続けたとか。
3. ノーシュート戦術
「ボールポゼッションが全てだ」と言わんばかりに、シュートを一切打たないという極端な戦術も実在しました。
この戦術は、ボールを保持し続けることで、相手に攻撃の機会を与えないというコンセプトに基づいていましたが、致命的な欠点がありました。
そう、シュートを打たなければ得点できないという事実です。
90分間、ひたすらパスを回し続けるも、ゴール前ではパスばかりを選択し、最後までシュートを打つことはありませんでした。
結果、スコアは0-0のまま終了。
この戦術は「ボール支配率100%でも勝てない」という皮肉な教訓を残しました。
4. ゴールキーパーをセンターフォワードに起用
ある試合で、監督が大胆にもゴールキーパーをセンターフォワードに起用したケースもあります。
「彼は身長が高いし、ヘディングが得意だから」というのがその理由。
確かに、ゴールキーパーの高さはセットプレーでの脅威になるかもしれませんが、残念ながらそれ以外の状況では彼は全く機能しませんでした。
ドリブルもシュートも苦手なキーパーが、攻撃の中心として振る舞う姿は、敵チームだけでなく、味方チームの選手たちをも困惑させました。
試合は大敗に終わり、この戦術はそのまま封印されました。
5. バックパス専門フォーメーション
最後に紹介するのは、徹底してバックパスを行う「逆進戦術」です。
この戦術の狙いは、相手を引きつけることでスペースを作り出すというものですが、極端にバックパスばかりを選択するため、試合全体が自陣深くで進行します。
観客はどこで盛り上がればいいのか分からず、退屈な試合が続くばかり。
結局、相手のプレスに屈してボールを奪われ、自陣で失点してしまうことが多発。
この戦術が成功した試合は、ほとんどありませんでした。
まとめ
サッカーはクリエイティブなスポーツであり、戦術もまたクリエイティビティが問われる領域です。
しかし、時にその創造性が過ぎると、奇妙で意味不明な結果を招くことがあります。今回紹介した戦術は、いずれも現実に試みられたもので、どれも結果的には失敗に終わりました。
それでも、ひねくれた戦術が生まれる背景には、何か新しいものを生み出そうとする監督たちの試行錯誤があるのかもしれません。