[2025新作映画] おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!をより面白く


3.「パンツ」を通じて問う社会の構造

本作が真にユニークなのは、「おっさんのパンツ」に象徴されるように、外見や立ち居振る舞いを通して、社会から無意識に排除される存在へのまなざしを誘導している点にある。

たとえば、劇中で古賀が職場の若手から「そのパンツ、ダサいですね」と言われるシーンは、単なるファッション批判ではなく、世代的な価値観の衝突を象徴する重要な場面である。

ここに込められているのは、「パンツの柄」ではなく「発言できる側とされる側」の権力構造への皮肉だ。

また、ラストで古賀が「このパンツ、好きなんだよな」とつぶやくシーンには、自己受容の萌芽と、観客への問いかけが込められている。


まとめ

『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』は、そのふざけたようなタイトルとは裏腹に、現代社会に生きる多くの人々、とりわけ中年世代の心に寄り添う、優しくも鋭い作品である。

パンツとは、ただの衣類ではなく、「見られる側」と「見る側」の関係性そのもの。

この映画は、我々に「誰もが自分らしくあってよい」というシンプルなメッセージを、笑いと哀しみのなかで静かに、しかし確かに伝えてくる。

スクリーンを見つめる私たち自身が、いつの間にか“古賀”になっていることに気づいたとき、この映画の真の意味が立ち上がってくるだろう。

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SNOWさんも考えた

なんだこのタイトル?自分のこと言われてる?と思ってちょっと気になったあるあるでチェックしてみました。

結果、よくできた映画だなと、パンツにこだわる層には自嘲気味のカタルシスを。

逆にパンツにこだわる層に辟易している層には、承認欲求のカタルシスを与えるような、そんな映画なのかなと。

キャストも原田泰造さんっていうところがとても絶妙、漫画から読んでいた人は「あーね」ってなってるんだろうか。

ただ俯瞰してみると、細かいことで争ってるんだなぁと、自分もそういう時期はあったから理解はできますけどね。

ずっとその価値観を持ち続けるのもすごいなぁと、そして自分がそうだったら、けっこうつらいことだろうなと思うに至りました。