近年、カフェを拠点に作業を行うノマドワーカーが増加している。
特に2020年代に入り、リモートワークの定着とともに、働く場所の選択肢が広がったことが背景にある。
「カフェ=くつろぎの場所」というイメージに加え、「仕事場」としての認識も一般化しつつある。
2025年現在、その実態はどのように変化しているのだろうか。
1.ノマドワーカーの定義と2025年の実態
「ノマドワーカー」とは、特定のオフィスに縛られず、カフェやコワーキングスペース、旅先など自由な場所で仕事をするスタイルの働き手を指す。
総務省の2024年のICT利活用調査によると、在宅勤務経験者のうち15.8%が「週に1回以上カフェで作業を行う」と回答しており、その傾向は増加傾向にある。
この背景には、スターバックスやブルーボトルコーヒーのようなWi-Fi・電源完備の店舗の増加、ChatGPTのようなAIアシスタントの普及、そして個人事業主や副業フリーランスの増加がある。
つまり「働く場所=成果を出す場所」という認識が広まり、物理的な職場の価値が相対的に下がっている。
2.カフェ作業のメリットと課題
カフェでの作業は、集中力を高めたり、気分転換をしやすいという利点がある。
適度な雑音(カフェノイズ)は脳の創造性を高めるとされ、ハーバード大学の研究でも“Moderate ambient noise”が認知機能に好影響を与えると報告されている。
一方で、作業に集中するあまり長時間の滞在が問題視されることもある。
特に個人経営のカフェでは「1ドリンク3時間滞在」は経営の負担になることもあり、ノマドワーカー側も店舗との関係性に配慮が求められる。
また、セキュリティ面の課題もある。
VPNの導入や画面の覗き見防止フィルターなど、基本的なリテラシーが不可欠だ。