朝の曇り空が、スタンドのざわめきをやわらげる。
ゲート裏では、3歳の若駒たちが静かに体を起こす。
午後の湿気は少し重いけれど、芝は“良”。
15:45、その一瞬のために整えられた呼吸が、中山の坂へ向く。
1. 本命サイドの信用度を他レースと比べてみる
今年のセントライト記念は、人気が「ミュージアムマイル・レッドバンデ・ファイアンクランツ」の三強に集まっている。
ただ、他の同時期のトライアル(ローズSや神戸新聞杯など)と比べると、信頼度は少し分散している印象だ。
ローズSは牝馬路線で一頭抜けて強い人気馬が立ちやすいが、セントライト記念は「三強拮抗」型。
神戸新聞杯は“ダービー上位組の格”で一本筋が通る年が多いのに対し、セントライト記念は「夏に力をつけた馬」と「クラシック実績馬」のせめぎ合いになる。
その意味で、ミュージアムマイルは格上の存在。皐月賞・ダービーの内容はやはり強調材料で、全体の比較では信用度は頭一つリードする。
ただし「休み明け・中山2200mの仕掛けどころ」という不確定要素もあるため、他レースの本命一本型よりは“絶対”と言い切れないのが現実だ。
2. 穴馬として光るシルエット
混戦の背景があるからこそ、伏兵の存在は気になる。
穴馬として推したいのはジーティーアダマン、皐月賞で大きく崩れず、立ち回りの巧さを見せた。
中山2200mは内枠でロスなく運べることが何よりの強みで、坂の手前で粘り込む姿は容易に想像できる。
三強のうち一頭でも伸びあぐねれば、連対圏に割り込む余地は十分だ。
そして大穴として狙うならリギーロ、戦績は地味だが、2600mでのスタミナ戦を勝ち上がっており、持続力は確か。
タフな流れになった時に“後ろが止まった中での先行残り”という絵が描ける。
人気を落としている分、ハマった時のリターンは大きい。
出典:JRA公式チャンネル