真っ黒な雲が急に近づいてきて、空気が重たくなる瞬間、テレビの映像で見た竜巻の光景を思い出す人もいるかもしれません。
実際に日本でも毎年のように突発的な竜巻が発生しています。
では、なぜ竜巻は「春から初夏」「昼過ぎから夕方」に多いのでしょうか。
この記事では、竜巻が生まれる条件を整理しつつ、時間帯や季節との関係を解説していきます。
1.竜巻が発生する基本条件
竜巻は「積乱雲」と強い上昇気流が主役です。
特に背の高い積乱雲(高さ10km級)ができると、大気の上下運動が激しくなります。
竜巻が起きやすい条件には次のようなものがあります。
- 地表付近に暖かく湿った空気がある
- 上空に冷たい空気が流れ込む
- 風向きや風の強さが高度ごとに違う(風のシアーと呼ばれる)
つまり、下はムワッと暑く、上はヒンヤリ冷えている状態がベストというわけです。
大気が「不安定」だと天気予報で表現されるのはこの状況です。
気象庁の統計では、日本で1年間に竜巻が報告される件数は平均20件前後。
その大半が上記の条件を満たした日です。
2.春から初夏に多い
では、なぜ季節は春から初夏に集中するのでしょうか。
まず春は、冬の冷たい空気がまだ残っている一方で、地表はどんどん暖められていきます。
この「冷たい空気と暖かい空気のぶつかり合い」が積乱雲を育てるきっかけになります。
特に5月から6月にかけては、30℃近くまで気温が上がる日も出てきます。
上空に寒気が流れ込むと、地上との温度差は20℃以上になることも。
この差が大きいほど、強烈な上昇気流が発生しやすいのです。
夏本番になると大気全体が温まるため、極端な温度差は減っていきます。
だからこそ、春から初夏は「竜巻のシーズン」と言えるのです。
出典:ANNnewsCH