ホルムズ海峡が揺らぐ中で、サウジアラビアの動きが一気に現実味を帯びてきました。
東西パイプラインの完全復旧によって、海峡を通らない輸送が成立しつつあります。
これは単なるインフラ復旧ではなく、エネルギーの流れそのものを変える可能性があります。
東西パイプラインとは何か
サウジの東西パイプラインは、東部の油田から西の紅海側まで原油を運ぶ巨大インフラです。
全長は約1200kmで、ペルシャ湾を通らずに輸出できる数少ないルートです。
もともとの輸送能力は日量500万〜700万バレル規模とされています。
このパイプラインは「海を使わない石油輸送」という代替手段として位置づけられます。
平時は補助的な役割ですが、有事では主役に変わる構造になっています。

今回の「完全復旧」が意味すること
今回のポイントは「700万バレル規模でフル稼働」にあります。
報道では日量700万バレルの輸送が可能な状態に到達したとされています。
これはサウジの輸出量のかなりの部分をカバーできる水準です。
実際、紅海側ヤンブー港からの輸出も大きく拡大しています。
つまり、ホルムズ海峡が使えなくても「ある程度は回る」状態になりました。
ここが今回の重要な変化です。
ホルムズ海峡がなぜ重要なのか
ホルムズ海峡は世界でも最も重要なエネルギーの通り道です。
日量約2000万バレルが通過し、世界消費の約20%を占めています。
幅は最狭部で約30kmしかなく、非常に影響を受けやすい構造です。
近年はドローンやミサイルの発達により、完全封鎖でなくても機能低下を引き起こすことが可能になっています。
「止めやすいが、影響は大きい」という特徴を持つ重要地点です。
そのため各国は代替ルートの確保を進めてきました。
日本への影響と原油確保の現実
日本は原油の約9割を中東に依存しており、その多くがホルムズ海峡を通過するルートです。
この海峡が止まると、供給に直接影響が出ます。
今回のパイプライン復旧によって、紅海ルート経由での供給維持の可能性や、供給完全停止のリスク低減、価格急騰の抑制効果といった点が期待されます。
ただし、700万バレルでは完全代替には届かない点も重要です。
封鎖時にはタンカーの滞留や輸送制限が発生するケースも確認されています。
そのため「リスクがなくなるわけではないが、軽減される」という位置づけになります。
出典:日テレNEWS