くら寿司が中国市場から撤退 – “後発組”でもうまくいった例と比較してみる

近年、多くの日本食チェーンが海外に進出するなかで、くら寿司の中国市場からの撤退は注目すべき出来事である。

この出来事は、単なる一企業の失敗ではなく、グローバル戦略における「後発組」のあり方を問い直す契機ともなる。

一方で、同じく後発ながら成功した企業も存在しており、その違いを考察することで多くの示唆が得られる。

本記事では、くら寿司の撤退事例を軸に、歴史上の後発組との比較を通じて「勝てる後発戦略」について考えてみたい。


1.くら寿司の中国進出と撤退の概要

くら寿司は2023年に中国本土へ進出し、上海に1号店をオープンした。

しかし、数店舗を展開した後、2025年初頭にはすべての店舗を閉鎖し、市場からの撤退を決断した。

この短期的な撤退の背景には、以下のような要因がある。

  • 日本より2倍近い価格設定により、現地消費者の価格期待を上回ってしまった

  • 地元競合他社との明確な差別化ができなかった

  • 福島原発処理水問題による一時的な日本ブランドへの逆風

  • SNSや口コミで話題性を生む仕掛けが弱かった

市場分析では、同時期に競合のスシローが中国全土で49店舗以上を展開し、高い人気を維持しているというデータもある。

このことからも、撤退の主因は「タイミング」や「環境」だけではなく、戦略そのものの違いにあると考えられる。


出典:Youtube(妙佛 DEEP MAX)


2.歴史に見る「後発組」成功の要因

くら寿司が“後発”で苦戦した一方、歴史を振り返れば「後発組」でも成功した例は少なくない。

2.1 すき家の事例

牛丼チェーン「すき家」は、老舗の吉野家より後発で市場に参入した。

当初は知名度において劣っていたが、24時間営業、価格競争力、スピード感あるメニュー開発で差別化に成功。

現在では店舗数・売上ともに国内トップを誇っている。

このように、後発でも「顧客体験」と「提供価値」で先行者を上回る戦略をとれば、優位性を築けることがわかる。

2.2 Wendy’s Japanの再参入

アメリカ発のファストフードチェーン「Wendy’s」は、かつて日本市場から撤退した経験がある。

しかし、2011年にファーストキッチンとの提携により“高価格プレミアム路線”として再出発し、再び市場に受け入れられた。

再参入にあたっては、メニュー開発やブランド再設計に加え、出店エリアを都市部に絞るなど、細かい戦略修正が行われた。

これは、後発組が「何を変えるか」によって、再挑戦の成否が決まることを示している。


3.くら寿司が選べた別の道とは

くら寿司が中国市場において後発であることを不利とせずに戦うには、いくつかの戦略的選択肢があったと考えられる。

  • 中間層〜富裕層を狙った“プレミアムランチ”路線(例:3000円相当のセット)

  • ビッくらポンなど日本的な体験価値を重視した店内演出

  • 地元食材や味付けとの融合によるローカライズ戦略

  • 「日本ブランド×安全性」強調による高付加価値化

特に注目すべきは、スシローが中国で「日本の2倍の価格帯でも受け入れられた」ことから、価格よりも「体験や品質」の方が重要である可能性が高いという点だ。

くら寿司も、高価格帯を避けるのではなく、むしろ“高価格に見合うプレミアム体験”を提供する方向性で戦えば、違った結果になっていたかもしれない。


まとめ

くら寿司の中国市場撤退は、「後発」であることが必ずしも敗因ではないということを示している。

実際には、後発でも成功する企業は多数存在し、その違いは戦略の明確さや現地適応力にある。

歴史に学べば、すき家のように価格とスピードで勝負する戦略もあれば、Wendy’sのようにブランドを再構築して再挑戦する道もある。

くら寿司もまた、現地ニーズに応じた再設計と価値の再提案により、将来的な再参入の可能性を残しているといえる。

後発組こそ、「最初の失敗」から学び、「次にどう挑むか」が真価を問われる場なのかもしれない。

寿司(Amazon)


SNOWさんが思うこと

くら寿司さんたまに行くので、気になるニュースだなーと思って記事にしてみました。

あのびっくらポンが通用しないとなると、かなり厳しい状況と言わざるを得ないですねぇ、ちがうか。

売上は上がっていても波があったり、ブームが来たり去って行ったり、政治もからんできたりしたら、いろいろと大変な状況になったりするのかもしれないですね。

日本というブランドを前面に出すと政治的な問題が絡んでくるのは、宿命というか環境というか、運に左右される部分も大きくなってくるのかなと。

くら寿司はスシロー、はま寿司と御三家の中でNo.1な部分もあると思っていますし、先日はたぶん人生で二回目の近場で回らないランチ5千円の寿司を食べに行ってきまして、感動もしました。

個人的にはやっぱり、日本の寿司文化をあらためて応援していきたいと思っています。