競走馬がレース後に「放牧へ出た」と聞くと、休んでいるだけのように感じるかもしれません。
ですが実際の放牧は、心身の回復と次走への準備を進める大切な期間です。
牧場では何をして過ごしているのか、どれくらい休むのか、体はどう変わるのかも気になるところです。
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放牧とは「休暇」ではなく再調整の時間です
競馬ニュースで使われる放牧とは、トレーニングセンターや厩舎を離れ、育成牧場や外厩施設で一定期間過ごすことを指します。
完全休養のケースもありますが、多くは疲労回復と立て直しを同時に行う調整期間です。
中央競馬ではレース後に数週間から2か月前後放牧される例が多く、脚元に不安がある場合は半年以上かけることもあります。
人間でいえば、温泉旅行とリハビリとフィットネスを一度に行うような時間だと考えるとイメージしやすいです。

牧場でまず行うのは心身のリセットです
放牧初期はしっかり休ませます
レース直後の競走馬は、筋肉疲労や軽い炎症反応、精神的な緊張が残っていることがあります。
そのため放牧直後の数日から1週間ほどは、運動量を抑えて自由に過ごさせることも珍しくありません。
馬房中心の生活から広い放牧地へ移るだけでも、ストレス軽減につながると考えられています。
群れで暮らす動物なので、自然に近い環境へ戻る時間はかなり重要です。
ケアも同時進行です
休ませるだけでなく、獣医師やスタッフが脚元の腫れ、蹄の状態、食欲、歩様などを確認します。
必要に応じてアイシング、マッサージ、装蹄調整、治療を行い、次のステップへ進める状態に整えます。
毎日ずっと草を食べているわけではありません
放牧地では歩き回ります
馬は1日にかなりの時間を採食と移動に使います。
自然条件にもよりますが、放牧地では何kmも歩くことがあり、これが軽い有酸素運動になります。
人が強制的に走らせなくても、脚腰への適度な刺激が入るのは大きな利点です。
食事管理はかなり細かいです
「牧草だけ食べて太る」というイメージがありますが、競走馬は体重管理が重要です。
馬体重が20kg~40kg増えることもありますが、増やしすぎれば復帰調整に時間がかかります。
そのため牧草、乾草、配合飼料の量を調整し、筋肉量と脂肪量のバランスを見ながら管理されます。
このあたりはトップアスリートのオフシーズン管理そのものです。
回復後は次走へ向けたトレーニングが始まります
ウォーキングマシンや坂路調教も行います
ある程度回復すると、ただ遊ばせる期間は終わります。
ウォーキングマシンで30分~60分ほど歩かせたり、トレッドミル、水中運動、坂路コースでのキャンター調教を始めたりします。
外厩施設によっては、トレセン並みの設備を持つ場所もあります。
最近は「放牧=休み」ではなく、「牧場でかなり仕上げる時代」と言われることもあります。
レース選択まで逆算しています
目標レースが決まれば、帰厩時期や負荷の上げ方も逆算されます。
たとえば4週間後に復帰予定なら、牧場で基礎体力を作ってから厩舎で最終調整する流れです。
出典:JRA日本中央競馬会