現場でのソフトウェア開発は、技術力以上に「頼み方」が結果を左右する場面が多くあります。
うまく頼めばスムーズに、間違った頼み方では軋轢や誤解が生まれるのが開発現場のリアルです。
2025年現在、リモート化・マルチチーム・グローバル化が進む中、頼み方の技術はさらに重要になっています。
本稿では、データと実例を交えながら、現代の現場で通用する「頼み方の型」を解説していきます。
1.現場の「頼み方」が問われる背景
2020年代以降、ソフトウェア開発の分業体制は細かくなり、1つの機能を実現するにも複数のチームや担当者の協力が必要になりました。
たとえば、経済産業省のIT人材白書(2024年)では、「タスク伝達のミスによる再作業」が年間で平均工数の14.6%を消費していると報告されています。
この数字が示す通り、「技術的な難易度」よりも「コミュニケーション不全」が最大のボトルネックであるケースは珍しくありません。
その背景には、以下のような要素があります:
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SlackやTeamsといった非同期ツールの普及
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業務委託や外国人エンジニアとの協働
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タスク管理ツール(Jira、Backlogなど)の属人化
つまり、「ちゃんと頼んだつもり」が通用しない時代なのです。
頼み方の精度が、チームの生産性や信頼関係に直結します。
2.具体的にどう頼めばよいのか
良い頼み方にはいくつかの共通点があります。下記の3点が特に重要です。
1.背景と目的をセットで伝える
「この関数の修正お願いできますか?」という依頼は、作業だけ見えて背景が見えません。
相手にとっては「なぜ自分が?」「本当に必要?」という疑問を生みます。
→例:「この画面で○○エラーが起きており、先週のレビューで修正が決まったため対応お願いしたいです」
2.納期と重要度を明示する
「できれば今週中で…」という曖昧な依頼は、結果として忘れられやすくなります。
→例:「6/20(金)の午前中までに欲しいです。出荷処理の工程に影響が出るため、優先度は高めです」
3.判断材料や資料を添える
依頼された側が迷わないよう、関連資料や過去の経緯、スクリーンショットなどを添付すると、作業スピードが大きく変わります。
→例:「Gitのissue#321に詳細をまとめています。対象コードはeFootballService.java
です」
このように、「頼む=指示を出す」ではなく、「理解を促す」姿勢が信頼の構築にもつながります。
3.うまく頼める人・頼めない人の違い
開発現場で「頼まれごと」がうまい人には、以下のような傾向が見られます:
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依頼のたびに感謝を伝える
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タスク分解がうまい(小さく頼める)
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過去に頼んだタスクの進捗やフォローができる
一方、うまく頼めない人は以下のような特徴があります:
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頼みっぱなしで進捗を確認しない
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依頼文が一文だけ(Slackなどで「これお願い」で終わる)
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相手のスキルや状況を考慮していない
たとえば、エンジニアAに「このデータの前処理スクリプト、明日までに書けますか?」と聞くのと、「このデータの整形処理、Aさんの得意なところに近いのでお願いしたいのですが、金曜リリースに向けて木曜午前には一度確認させてほしいです」と伝えるのでは、反応と結果に大きな違いが生まれます。
頼み方=信頼のコスト削減ともいえます。良い頼み方は、関係性の燃費をよくします。
まとめ
「頼み方」は、技術と同じくらい重要なスキルです。
背景・目的・納期・資料の4点を意識するだけで、依頼の質は驚くほど向上します。
特にリモート中心の開発環境では、テキストだけで信頼関係を築く必要があります。
仕事ができる人とは、「頼み上手」な人。まずは今日から、ひとつずつ実践してみてはいかがでしょうか。
SNOWさんが思うこと
自分も仕事を頼むのが下手ではないけど苦手で、ぜんぶ自分でこなしているうちに作業スピードが下手をすると10倍みたいなときもあります。
このブログも1日5回更新にして、本業は普通にフルタイムでソフトウェア開発をやってて、まぁできるかなという実感もあります。
とにかくヒマが嫌という時点で、人に仕事を頼もうという気持ちが足りないんでしょうね。
たくさん仕事を任されても、意味がわからないときは誰か雇ってなんて言うことはないと思います。
たとえば会社の経理的なことから意味がわかって、やっとそういうことが言えるのかなと思っているので、もしかすると一生仕事を頼むことがないのかもしれない。。