リヴァプールFC – 遠い目をした 遠藤 航 の何がすごいのか言語化する


リヴァプールの赤いユニフォームに身を包み、試合中ふと見せる遠藤航の「遠い目」には、どこか哲学的な深みがある。それは単なる疲労や集中の表情ではなく、プレーの先にある何かを見据える眼差しだ。

多くの日本人選手が欧州でプレーする中、遠藤は決して派手ではないが、極めて信頼される存在として位置づけられている。

彼の「すごさ」は、派手なゴールやアシストではなく、試合の重力を静かに制御するその所作に宿る。

この記事では、そんな遠藤航という選手がなぜここまで高く評価されるのかを、事実と考察を交えて紐解いていく。

1.数値に現れる堅実さと適応力

遠藤航の強みの一つは、タックル成功率やインターセプト数といった防御的スタッツの高さにある。

2023-24シーズン、リヴァプールに移籍後の彼のタックル成功率は70%を超え、これはプレミアリーグの中でもトップレベルに位置する。

また、ボールリカバリーの平均回数も試合ごとに6〜8回と安定しており、ミッドフィールドの潤滑油としての役割を果たしている。

こうした数値は、単に守備的な能力の高さだけではなく、戦術理解力と適応能力の高さを示している。

ブンデスリーガで培った「読み」と、Jリーグ時代から評価されてきた「判断の速さ」が、異文化であるプレミアでも通用することを証明した形だ。


2.チームのバランスを整える「陰の支配者」

リヴァプールというクラブは、トレント・アレクサンダー=アーノルドのような攻撃的SBや、ダルウィン・ヌニェスのような前線の個性派に目が行きがちだ。

しかし、そうした選手たちが自由に動けるのは、遠藤の「位置取り」と「犠牲的プレー」があるからこそ成立している。

例えば、カウンター時に味方DFが押し上げた瞬間、誰よりも早くカバーエリアに下がる遠藤の判断。

中央にスペースが空けば一歩下がり、左右に偏ればスライドで即座に修正する。

まるで「重力の中心」として、無意識にチームを安定させる存在なのだ。

このような動きはTVカメラでは映りにくく、実況でも取り上げられにくい。

だが、ピッチ上にいる選手と監督にとっては「絶対に欠かせない」存在であり、それこそが遠藤の本当の「すごさ」である。