アリエン・ロッベンは、オランダが誇るウイングプレーヤーである。
左サイドからカットインし、右足でゴールに突き刺すスタイルは代名詞ともなった。
PSVからスタートし、チェルシー、レアル・マドリード、バイエルン・ミュンヘンと欧州の強豪クラブを渡り歩いたその軌跡は、成功と同時に苦難に彩られている。
本稿では、ロッベンのキャリアとその裏側にある努力と適応力に光を当てていく。
1. 欧州4クラブで刻んだ実績と適応力
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PSV(2000–2004)
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エールディヴィジ優勝2回、国内カップ1回制覇。
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若くしてトップリーグで頭角を現し、欧州移籍への足がかりを作る。
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チェルシー(2004–2007)
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プレミアリーグ2連覇、FAカップ・リーグカップでも優勝。
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モウリーニョ監督の下、スピードと突破力を活かした戦術理解が進む。
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レアル・マドリード(2007–2009)
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ラ・リーガ優勝1回。
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層の厚さと怪我の影響から出場機会は限られたが、一定の存在感は示した。
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バイエルン・ミュンヘン(2009–2019)
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ブンデスリーガ優勝8回、DFBポカール6回、CL制覇1回(2013年)。
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2013年のCL決勝では決勝点を記録し、キャリア最大の瞬間を迎えた。
ロッベンのキャリアは、成功の裏に「適応」の連続があった。
クラブごとに戦術や文化が異なる中、自らのスタイルを貫きながらもチームにフィットさせる能力は特筆に値する。
特にバイエルン移籍後は「完成された選手」としての地位を築いた。
2. たび重なる怪我と復活への信念
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ロッベンは選手生活の多くを怪我とリハビリに費やした。
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膝、足首、ハムストリングなど、シーズン単位で長期離脱することも珍しくなかった。
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にもかかわらず、復帰のたびにトップコンディションを取り戻す姿勢は、多くの選手の模範である。
単なる「怪我の多い選手」ではなく、「復活する選手」であり続けたことがロッベンの真価だ。
再発の不安を抱えながらも高強度のプレーを継続できた背景には、徹底した身体
管理とメンタルのコントロールがある。
とりわけ2013年のCL制覇は、過去の苦悩と挑戦の積み重ねによってもたらされた結果と言える。