景気回復の報道が繰り返される中、多くの人が「豊かさ」を実感できない現実がある。
物価上昇や少子高齢化が進む中で、「生活が苦しい」と感じる人の割合はどう変化しているのか。
内閣府が毎年実施している「国民生活に関する世論調査」では、国民の率直な声が数字となって現れる。
今回は令和5年度の調査から、暮らしの実感値と背景にある心理・制度を読み解いてみたい。
1.「暮らし向き」が良くなったと感じる人は1割にとどまる
2023年(令和5年)の調査では、「暮らし向きが良くなった」と回答した人は全体のわずか10.5%にとどまった。
一方、「悪くなった」と感じている人は31.8%、「変わらない」とする人は過半数の54.9%だった。
この「良くなった」と回答した人の割合は、前年(令和4年)の9.3%からは微増しているが、依然として1割前後に低迷している。
特に「悪くなった」と感じている層のうち、高齢者よりも40代〜50代の現役世代に多い傾向が見られる。
これは教育費や住宅ローンなど家計への直接的な圧力を感じやすいライフステージと重なる点に注目すべきである。
2.物価上昇と収入実感のギャップが「豊かさ」を覆い隠す
「暮らし向きが悪くなった」と感じる理由について、最も多かったのが「物価の上昇」で82.5%に達している。
それに対して「収入が増えた」と実感している人は13.7%しかおらず、いわゆる実質賃金の低下が人々の体感に強く影響していると考えられる。
生活必需品や光熱費の高騰は、日常生活の中で「節約しながら暮らしている」という感覚を強めており、数値としての成長が心理的な豊かさに繋がっていない。
また、実感として「自由になるお金が増えた」と答えた人は6.4%にとどまり、経済的なゆとりを持てている層がごく少数である現実も浮かび上がっている。
つまり、実際の所得よりも、日常の消費感覚こそが「豊かさ」を規定しているという視点が見えてくる。
3.「将来不安」の正体は社会保障と雇用の不透明感
将来の暮らしに対する不安感を尋ねた設問では、「老後の生活設計」が最も高く、68.6%が不安と回答している。
特に注目されるのは、「年金制度への信頼」が揺らいでいることで、今の現役世代が自分たちの将来にもらえるかどうかに疑問を持っている点である。
さらに、「雇用・労働環境の変化」や「景気の先行き」についても50%前後の人々が不安を感じており、将来の所得が見通せないことが心理的な圧力となっている。
その背景には、非正規雇用の増加や、働き方改革に伴う不安定な労働環境の問題があると考えられる。
人々が不安を抱えるのは、必ずしも今の生活水準ではなく、「先が見えないこと」に起因する側面が大きいと言える。
まとめ
令和5年度の国民生活調査から見えるのは、「数値としての景気回復」と「体感」との間に存在する大きな隔たりである。
物価高騰や不安定な雇用環境、将来の年金制度への不信感が、「生活が豊かになっていない」という感覚を強く支えている。
政策によってGDPが上向いたとしても、それが財布の中身や家計の安心感に直結しない限り、人々の意識は変わらない。
今こそ、生活者視点に立った実効性ある政策と、安心できる将来設計の提示が求められているのではないだろうか。
SNOWさんが思うこと
福利厚生というのは国というか国民の都合ですが、経済というのは世界とのコミュニケーションですよね。
技術ではリードしていても営業力や商業としての力が足りないと言われているので、その辺りをどう改善していくかがカギなんだろうなと思っています。
非常にセンスが問われる部分で、センスだけあっても使い方とか、体力がもたないとダメだったりで、これもまた結構難しい世界だろうなとも思います。
自分が技術者で大したことないし勉強もそこまで得意ではないので、営業力とか経済について真面目に勉強してみたいかもしれないとちょっと思っています。